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粉飾された2兆円 -8 . はてなブックマーク  Twitter   2008-06-10

 年便益(B-2)をもとにして、総便益(B-3)を導く計算式は次のとおりです。(『マニュアル』P.41)
年便益の計算式

 ここでBは総便益(B-3)のことですし、btは年便益(B-2)のことです。上の計算式は、治水施設が完成してから50年の間の年便益(年4%で割引還元したものです)の総合計(総和)を計算するものです。尚、公表されている平成17年4月版の『マニュアル』には、上のBに治水施設の残存価値を加えるようになっていますが、平成12年5月版の『マニュアル』にはこの残存価値が総費用(C)の控除項目になっており、総便益の加算項目ではありません。ちなみに、斐伊川水系全体の治水事業の総費用は、すでに述べましたように6,047億円ですが、その内訳として、
  1. 建設費 5,851億円
  2. 維持管理費 419億円
  3. 残存価値 △223億円
となっています。
 ここでは、総費用の控除項目になっている、平成12年5月版の『マニュアル』に従って、総便益(B-3)の計算には残存価値は関係しないものとします。それにしても、200億円余りの残存価値を分母(総費用)から差し引いてみたり、あるいは一転して、分子(総便益)に加えてみたりと、もっともらしい屁理屈をつけて、なんとも楽しそうにキャッチ・ボールをしていますね(「治水経済調査マニュアル(案)の見直しについて」、平成15年10月17日)。いずれにせよ、今私が吟味検討しようとしているB/C(ビー・バー・シー)比率には、残存価値が分子と分母のどちらにいこうともさほどの影響がありませんので、総費用の控除項目のままとしておきます。

 さてそこで、さきに掲げた年便益の総和(これがB-3です)の計算式によって、年便益(B-2。式の中のbtです)を逆算してみますと、
となります。これは、「年便益の計算式」に、期間(t)を50年とし、総便益B=2兆658億円(20,658億円)、割引率r=4%の値を入れて出したものです。
 このように、年便益を逆算してみますと、
となるのですが、この961億円という金額の意味するところは、
『この治水工事をすれば、毎年961億円以上の水害を防ぐことができる』
ということです。前回述べましたように、年便益(B-2)とは、『年平均軽減期待額』のことだからです。別の言い方をすれば、この治水工事をしなければ、『毎年必ず961億円以上の水害被害が発生する』ということでもあります。
“毎年必ず961億円以上の水害が発生する”
-これは一体どういうことでしょうか。本当にこのようなことがあるのでしょうか。実は全くあり得ない、絵空事(えそらごと)なのです。全くあり得ないことを論証するために、次の2つの方法を用いることにいたします。
 一つは、実際に起った過去の水害を振り返ってみる方法、つまり経験則に照らしてみる方法です。
 今一つは、論理的な矛盾を導き出す方法です。
(この項つづく)

 ―― ―― ―― ―― ――

 ここで一句。
“近所では 暫定夫婦と 呼ばれてる” -湖西、宮司孝男。
(毎日新聞、平成20年4月23日号より)

(“暫定の 期日がきたら ひと揉(も)めし”)


<今の松江> (平成20年6月1日撮影)

東本町三丁目川端のあおさぎ 南田町の堀川
<左:東本町三丁目川端のあおさぎ> <右:南田町の堀川>

瀬田橋(北田町) 普門院橋へ
<左:瀬田橋(北田町)> <右:普門院橋へ>

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[1374] Re1: 粉飾された2兆円 -8 投稿者:坪井信博 2008-06-14 22:42:08
こんばんは。
山根さんのブログはホリエモンの頃から拝見しております。

本日6月14日(土)
放送時間午後9:00よりNHKでドラマ「監査法人」を見ました。

ドラマとしては珍しく、会計士を主役にすえたものです。勿論ドラマですから、実際に比べ脚色もあり、過剰な演出もあるでしょうが、それも含めて感想をお聞かせいただきたいと思いました。
非常に面白い題材ではあると思います。

私は残念な事に個人的に会計士の方とは縁がなく、実務についても分かりません。山根さんのブログを拝見する中で、違う人間ですからある部分においては意見の違う記述も当然ありましたが、人間性として尊敬できる方だ思っております。

実務を知らない人間にとっては実際と照らし合わせてどうなのかを、もちろん固有名詞は出せないでしょうが過去の事例と照らし合わせた感想や解説などをいただけないでしょうか。
実務を知る職業会計人として信頼に足る人物の感想をお聞きしたく思い、コメントいたしました。
ぶしつけなお願いですが、よろしくお願いいたします。
[1378] Re2: 粉飾された2兆円 -8 投稿者:山根治 2008-07-22 15:42:39
>[1374] 坪井信博 様へ

 6回シリーズのNHKドラマ「監査法人」が終わりましたね。会計士、しかも監査をしている会計士を主人公にしたドラマということでしたので、どのような取り上げ方がなされるだろうか興味を持っていました。
 全体的な感想としては、かなりの取材を重ねている痕跡が見受けられ、それなりの作品になってはいます。しかし、回を重ねるごとにシナリオ・ライターの勝手な思い込みが強くなってきたようで、通常では考えられないようなシーンが頻発するようになりました。それだけ会計士が一般によく知られていないということでしょうか。とりわけ私が違和感を覚えたのは、仕事をするのに会計士が隊列を組んで会社に乗り込み、それを会社のトップをはじめ幹部が整列をして玄関で迎え入れるシーンですとか、会社の不正を暴くのに、監査法人の意向に反して個人的に探偵まがいの調査をするシーンですとか、これらは話を面白くするための工夫でしょうが、日本における会計士監査においてはまず考えられないことです。会計士の仕事は極めて地味なもので決してカッコいいものではありません。若いイケメンと美人の会計士を配した手前、無理にカッコよく仕立てようとしたのでしょうか。
 最終回は主人公が監査法人を辞め、上場会社の顧問会計士になって会社再建に尽力する筋書きですが、およそ現実にはありそうもないことのオン・パレードで見るに耐えませんでした。
 かつて同じようなNHKドラマで「ハゲタカ」というのがあり、非常に立派な作品に仕上がっていましたので「監査法人」についてもそれなりに期待していただけに残念でした。
[1380] Re3: 粉飾された2兆円 -8 投稿者:坪井信博 2008-09-07 23:19:33
山根様

お礼が遅くなり申し訳有りません。

おっしゃるように私も第一回目ではかなり期待と持って見ていたのですが、回を重ねる毎にだんだんと演出がいかにもドラマとなってしまい(元々ドラマなのでしょうがないと言えばそれまでですが^^)、期待がどんどん薄れていってしまいました。
ただどこの部分がどう実際と違うのかという事については、知らない人間にとっては分からない所ですので、解説をいただき非常に嬉しく思います。

確かに若いイケメンと美人の会計士を配し、よりドラマチックに”カッコよく”盛り上げざるをえないテレビの呪縛によって、ありえない展開でむしろ質が下がってしまったようですね。
その辺は会計士の方にとっては「オイオイ・・・」と見るに耐えないものだったでしょうね(笑。
ぶしつけなお願いに対し丁寧な解説をいただき
やはり義に厚く信に足る方なのだろうなという思いを強くしました。
まことにありがとうございました。

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