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冤罪の構図 -19 . はてなブックマーク  Twitter   2007-10-09

 これまで、冤罪の基本的な構図を実例に即して考えてきました。そこで私が明らかにしたかったことは、日常的に軽々しく冤罪が創り出されている現状と、現在の裁判制度が続く限り、冤罪を根絶するのは難しいであろう、ということでした。
 考えてみますと『人が人を裁く』、ここに根源的な問題があるようです。全能の神ならぬ人間がすることに完全なことはありませんし、仮に間違ったことをした場合でも、なんとか理屈をつけて覆い隠し、お茶を濁してしまう、これは私を含めた全ての人間の悲しい性(さが)と言ってもいいでしょう。
 しかし、だからといって、明らかに不心得な検事や裁判官を野放しにしておくことはできません。彼らは私人ではなく、特別な公務を司(つかさど)る公務員だからですし、放っておくと多くの国民が多大な迷惑をこうむることになるからです。ではどうしたらいいか。
 冤罪を完全になくすことができないならば、せめて作為的なデッチ上げによる冤罪だけでも抑止するシステムを考えることが必要ではないか、断罪する側である検事とか裁判官の良識に期待することができない以上、彼らのモラル・ハザード(倫理観の欠如)に歯止めをかける外部的なチェック・システムが必要ではないか、私は冤罪事件の被害者として改めてこのような思いを痛切に感じています。

 読者の方からいただいたコメント(コメントNo. 1343)のように、インチキを働いた公務員を厳罰に処すための法律を整備することは、たしかに、不心得な公務員の犯罪行為を抑止するのに有効でしょう。現行法でも、刑法とか国家公務員法などで、公務員の非違行為を罰するもっともらしい規定があるにはあるのですが、明治以来、一貫して続いている官僚制国家のもとではほとんど死文と化しているのが現状です。検事とか裁判官のような特別な公務員だけでなく、一般の公務員にいたるまで事実上の野放し状況といったところです。実際に不祥事があっても、身内でもみ消してしまうのです。マスコミなどが騒いで、どうにも隠しようがなくなった事件に限って、表沙汰(おもてざた)にし、処罰の対象になる始末です。このところ大きな問題となっている社会保険庁職員による大がかりな保険料の横領事件がいい例でしょう。公務員がどのような悪事を働いても、身内でかばい合ってもみ消してしまうのは、ミャンマーとか北朝鮮のような独裁国家の、なりふり構わない手前勝手な論理と同じようなもので、これからも引き続き身内だけでうまい汁を吸おうとする自分達の組織をなんとしても防衛するためでしょうか。このような、悪事を働く者はもちろんのこと、それを覆い隠そうとする不埒(ふらち)な公務員は、民主国家日本における「獅子身中の虫」と言っても過言ではありません。
 日本国憲法では、公務員は公僕(シビル・サーバント)であると規定されているものの、どこ吹く風。ほとんどの公務員の意識の中には、公僕どころか、逆に国民の側が僕(しもべ)、つまり、官のしもべであるという、逆立ちした意識が定着しているのではないか、40年ほど会計士として飯を食い、検事、判事を含む多くの公務員、とりわけ多くの税務署員と接してきた挙句の実感です。「国家の恣意裁量による権力の濫用から国民を守る」ことが、日本においては蔑(ないがし)ろにされていると指摘(コメントNo.1347、AN氏)されている通りです。
 実効性のある罰則の強化と同時に、思い上がった公務員の徹底的な意識改革が必要でしょうね。さしずめ、国の屋台骨を食い荒らす害虫退治といったところでしょうか。

<追記>

 今、松江は“水燈路”(すいとうろ)の季節。松江城の周辺に、ローソクの炎にゆらめく、木と竹と紙の行灯(あんどん)、400基。4,000灯の照明に浮き上がるお城とお堀、その水面(みなも)に揺れる夜舟の火影(ほかげ)。神々の首都、松江はいま、神在月(かみありづき)、幽玄の世界が流れていく。
 秀れた教育者であり、作家であった小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)がこよなく愛した松江、明治時代に温かく迎え入れた松江市民は今もなお、この類い稀な感性の異国の人を、「へるんさん」と親しみを込めて呼び、敬愛する。まさに、“水燈路”は、へるんさんを敬慕し、いにしえの出雲に想いをはせる縁(よすが)である。

 メモを片手に歩みつつ、行灯に書き込まれた、老若男女、松江市民の歌声を拾ってゆくと、-

<追記2>

 水燈路を離れ、虫の音(ね)とキンモクセイの甘い香りにつつまれて、ゆっくりとお城に向かう。ライトアップされた天守閣に登り、夜の松江を一望する。夜の灯りに浮き上がる水の都の夢舞台、わが至福のひととき。
(平成19年10月7日記)

 ―― ―― ―― ―― ――

 ここで一句。
“もんた節 強きにおもねる 処世術” -秩父、有朋。
(毎日新聞、平成19年9月26日号より)

(わが配偶者も熱烈なもんたファン。強きもの、権力、金持ち、オバタリアン。“Frailty, thy name is woman”(弱きもの、汝の名は女なり)はいま?)

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