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疑惑のフジテレビ -5 . はてなブックマーク  Twitter   2006-02-21

 フジテレビがライブドアと基本合意をした、昨年の4月時点に立って考えてみましょう。
 ライブドアという会社は一体どういう会社であると見られていたのでしょうか。認知会計の手法に従って、いわばライブドアの世間的評価等についての棚卸し(インベントリー)をしてみます。

 まず、コンプライアンス(法令遵守)という観点に絞ってみますと、次の3つの事実が明らかになっていました。
  1. 最近の一年以内に、矢継ぎ早に3回にわたって都合1万分割もの株式分割を敢行し、その前後にライブドア株が乱高下していること。
  2. 特殊な転換社債(MSCB-2010満期ユーロ円建転換社債型新株予約権付社債)を発行することによって、リーマンブラザーズから800億円もの資金調達を行ったこと。
  3. 2.の資金をもとに、ニッポン放送株を時間外取引で大量に取得したこと。

 これら3つの事実について、ライブドアは、直接的に禁止する法の規定がないから適法であると言いつのり、監督官庁である金融庁とか証券取引等監視委員会も違法ではないとして黙認していました。
 大方の法律学者とか弁護士が違法ではないと大合唱する中で、明解に違法であると断言していたのは、私の知るところでは、早稲田大学の上村達男教授ただ一人でした。教授は、
「証取法の包括規定を適用すれば、直ちに違法である」
と、証取法に通暁している法律学者の立場から警鐘を鳴らしていました。

 このように、ごく一部の有識者によってライブドアの違法性が指摘されてはいたものの、ライブドアの行った数々のいかかがわしい行為は、企業倫理には悖(もと)るものではあっても、違法とまでは言えないとするのが、当時の大方の見方でした。
 つまり、ライブドアという会社は、法にさえ触れなければ利益を得るためには何でもやる会社であり、法の抜け穴を捜し出しては金儲けのチャンスにするような会社である、更には、法に触れることであってもバレなければいいと考えている会社であると考えられていたのです。法の立法趣旨などおかまいなしに、抜け道を見つけ出しては次から次へと実行していくわけですから、まさに法を僣脱するものであり、脱法行為そのものです。ウラ社会の住人が人に隠れてひそかに行うような脱法行為を、あろうことか、上場会社の社長が堂々と公言し、実行しているのです。まさに前代未聞のことと言っていいでしょう。

 フジテレビが440億円を出資することに合意し、一ト月ほどの調査期間をとってデユーデリに着手した時には、すでにライブドアという存在が普通の上場会社ではなく、何をしでかすか分らない極めて危うい会社であることは、紛争の当事者であったフジテレビが承知していただけでなく、衆知の事実であったのです。

 次に、コーポレート・ガバナンス(企業統治)に関連して、詳しい調査をするまでもなく判明していたことは、次の2つの事実です。
  1. ライブドアは堀江貴文氏の事実上のオーナー会社であったこと。
  2. 事業資金の調達は、自己資金(増資)によって賄われており、外部金融機関に頼る必要がなかったこと。
 1.について。平成16年9月30日現在、堀江氏の持株比率は36.4%ですが、他の株主の大半は15万人余りの個人株主に分散されていますので、堀江氏の持株状況は群を抜いたものです。
 筆頭株主である堀江氏を含めた上位10位までの大株主の持株比率を見ても、第2位は1.8%の日本証券金融(株)となっていますが、これは信用取引にかかる一時的な所有と考えられますので考慮外におきますと、第3位の杏林製薬(株)の0.6%をはじめ全て1%を切っています。
 つまり、平成16年9月30日時点では、堀江貴文氏の一存で会社の全てのことが決定できる、事実上のオーナー会社であったということです。
 尚、和解の合意がなされた直前である平成17年4月15日現在の堀江氏の持株比率は、24.1%と低下しています。これは、リーマン・ブラザーズが引き受けた800億円のMSCBの株式転換が、この日をもって完了(リーマン・ブラザーズは、平成17年3月10日を皮切りにして、10回にわたって転換請求をし、この日に転換を全て終えています)し、ライブドアの発行済株式総数が915,317,809株へと増大したことによるものです。
 持株比率が36.4%から24.1%へ下がったとはいえ、リーマン・ブラザーズが転換した株式は直ちに市場で売却されており、多くの個人投資家に分散されていますので、堀江氏が圧倒的優位な立場にある大株主であることには変りがありません。

 2.について。平成16年9月30日現在において、外部借入金等として、長短合せて51億円余りが計上されてはいるのですが、一方で308億円余りの現預金がありますので、事実上は無借金の会社と考えられます。
 つまり、いわばお目付役的な存在である外部金融機関が存在していなかったということです。
 尚、この日以降に、リーマン・ブラザーズに対して800億円の転換社債が発行されていますが、前述の通り合意契約を締結するまでに、全てが株式に転換されていますので、合意日である平成17年4月17日には、リーマン・ブラザーズは外部債権者ではなくなっています。

 この2つの事実は、ライブドアが堀江貴文氏のワンマン会社であり、内部におけるチェック機能はもとより、外部からのチェック機能も全く働かない会社であったことを強く示唆するものです。
 つまり、コーポレート・ガバナンスの点においても、極めて大きな問題を抱えた会社であったことがうかがえるのです。

 ―― ―― ―― ―― ――

 ここで一句。
“武部さん信じてあげて息子なら” -長崎、ダッファー。
(毎日新聞:平成18年2月11日号より)

(ウラ社会でも親子の絆は強いといいますよ。もしかして、政界もウラ社会?)

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[604] Re1: 疑惑のフジテレビ -5 投稿者:忠 2006-02-22 18:05:39
「証取法の包括規定を適用すれば、直ちに違法」と言われるが、民法の信義誠実の原則や権利濫用の禁止の一般条項を適用しても違法であると思う。
包括規定や一般条項はあまりみだりに持ち出すべきものではないと思うし、刑事罰を科せられることもある証取法においては特に慎重であるべきであると思う。ホリエモンの悪の本質への具体的な踏み込みも足りないと思う。
[606] Re2: 疑惑のフジテレビ -5 投稿者:佐藤 2006-02-24 14:23:13
前から予想していた事が起こったから喜んでいるのか分からないが・・
ブログを書いている人はどうかわからないが、人をひきつけようと「疑惑のフジテレビ」という悪意のあるタイトルをつけてアクセスをのばしひきつけているのはどうかと思う?
「疑惑のライブドア」なら分かる。

それにフジが加害者というのは言い過ぎ
どう考えても加害者ではない
[607] Re3: 疑惑のフジテレビ -5 投稿者:高橋 2006-02-24 15:31:20
フジテレビの経営陣も加害者ですよ。
まず会計のお勉強をしてみましょうね。
[608] Re4: 疑惑のフジテレビ -5 投稿者:agojun55 2006-02-24 19:04:13
現在の’Commercial Law'の基礎を作ったイギリス法は、LawとEquityから成り立ち、イギリス法を学ぶものはEquityを徹底的に勉強しなければならない。日本の法律家はEquityをまるで学んでいないのでCommercial Lawをまったく理解していない。

ホリエモンがやったことが’違法’でないなんてキチガイ沙汰だ。フジテレビの経営者が’被害者’という議論馬鹿馬鹿しさは、’被害者になってしまう無能力者経営者’は、それ自身の存在が’違法’なのである。ホリエモンは堂々と’無頼者’であることを宣言しているのだから。
[609] Re5: 疑惑のフジテレビ -5 投稿者:fine 2006-02-25 11:01:51
>>606
同意します。
LDの本質が見抜けなかったということについては、(見抜いていたとしてもどうしようもなかった事態を招いたことについては)アホ以外の何者でもありませんが、加害者と言い切れるほどの責任はありませんでしょう。
そもそも、これだけ正しい情報が満載であるはずの「ホリエモンの錬金術」でさえも東京地検特捜部が捜査に入らなければただのブログでしかなかった訳ですから、その「アホ」に対して時流を無視して今更ながらに責任を追及するのはどうかと思います。
それに、フジテレビがLDの資金工作に積極的に参加していたというのならまだ話は通じますが、アホだった故に消極的に協力せざるを得なかっただけなのですから、それを加害者というのは言い過ぎです。

ただ、山根氏は検察を憎悪しているのはわかりますが、例えば、もしもあのニッポン放送株争奪戦のさなかにLDを刑事告発をしていたとして、それでもフジテレビがLDに協力したとするならば、それは加害者と言っても言い過ぎではないでしょうけど。
[611] Re6: 疑惑のフジテレビ -5 投稿者:Bug 2006-02-25 13:36:21
フジはともかく、選挙でホリエモンを応援してライブドアに追い風を送った自民党については、加害者と言っても言い過ぎではないと思う。
自民党は明らかに積極的にホリエモンを応援してライブドアの知名度を高め、実際株価も上がって、高い株を買わされてその後暴落して多額の被害を受けている人も多い。
自民党については、ライブドアに株を買い占められてどうしようもない状態になっていたわけでもない。
日本国の舵取りをするという重大な責務を負っている以上、「アホ」ではすまされない。「アホ」なら国を誤った方向に導いていく恐れが高い。「アホ」は辞めさせて「アホ」ではない人材に交代させるべきであろう(そういう人材が現在いるのかどうかは分からないが。いたとしても登用の道が開かれているのかどうかは分からないが)。
[615] Re7: 疑惑のフジテレビ -5 投稿者:ooo 2006-02-26 06:24:39
証取法の包括規定が活用されるべきなのは
刑事罰をかけるほどの犯罪行為であるからで
そこは、民法の一般条項とは違うと思います。
[618] Re8: 疑惑のフジテレビ -5 投稿者:忠 2006-02-26 13:40:25
犯罪行為であるというには、構成要件が明らかにされ、なした行為のどこが構成要件に該当するかが、相当程度以上具体的に明らかにされないといけないです。罪刑法定主義があるからです。
刑事罰を科すということは、科された人を事実上社会的に抹殺することにもなりかねないので、法規の適用には慎重であるべきです。
漠然と「あいつは悪そうだ」というだけで刑事罰を科すわけにはいかないと思います。
そうでないと、戦前の治安維持法のように濫用されて、警察国家、恐怖政治の恐ろしい社会になると思います。
実際に証取法の包括規定が適用されたことは過去にはほとんどないし、今回のライブドア事件でも適用されたのは包括規定ではなく偽計や風説の流布や有証の虚偽記載といったもっと具体的な条文です。
包括規定を持ち出したいという気持ちは分かりますが、濫用は厳に慎むべきです。
上村先生というのは基本的に民事法学者であって刑事法学者ではなく、実務家でもないので、評論家として民法の一般条項を適用するような感覚でそのように言われたのではないかと思います。
上村先生に限らず証券取引に関することに深く携わっていた人達は、フジ騒動の当時ホリエモンの手法を見て、それは証券取引の社会では認められないことではないか、と漠然と思っていた人達は少なくなかったと思います。
[627] Re9: 疑惑のフジテレビ -5 投稿者:uuu 2006-03-01 06:52:19
しかし、法解釈的には、包括規定を
持ち出すことは妥当だと思います。

ワールドコムの経営者は禁固25年の
判決が出たと思いますし、こうした市場
を欺く行為に対し、非常に厳しいという
国際標準からしても、むしろ現状では
包括規定はもっと活用されるべきだと
思います。
検察の判断は、まったく妥当でしょう。
批判しているのは、やはりかつて
検察のお世話になった人が多いですから
(w
[629] Re10: 疑惑のフジテレビ -5 投稿者:aaa 2006-03-01 12:20:31
ワールドコムの場合は経費を設備投資に計上するという単純な粉飾決算事件です。包括規定を持ち出す必要はありません。
[1299] Re11: 疑惑のフジテレビ -5 投稿者:ふにゃふにゃ 2007-02-27 15:33:09
包括規定の話が盛んに出ていますね。
包括規定がアメリカの10b-5(だったかな??)のパクリであることはよく知られていますが、包括規定をどのように運用するかは、それぞれの国の裁判所のあり方、言い換えれば司法権のあり方に密接に関連する問題です。
同じ(ような)包括規定が日本とアメリカにあったとして、同様に解釈・運用される保証はないし、またその必要もありません。アメリカは判例法の国であって、裁判所の判断が法を構成するのですが、わが国は制定法主義の国なので、裁判所の判断が法になるわけではないんですね。そういう背景事情があるために、日本の裁判所としては、あまり積極的に包括規定を振り回すことはできない、ということになるわけです。
包括規定はその他の具体的な条文と並んで法典の中に置かれているのですが、中身は非常に抽象的で、実質的には白紙と言ってもいい代物です。裁判所が包括規定を自由自在に使うとなると、裁判所が白紙に勝手に法文を書き込んで使ってしまう、ということにもなりかねず、慎重にならざるを得ません。
[1303] Re12: 疑惑のフジテレビ -5 投稿者:これはね 2007-03-02 20:37:28
>アメリカは判例法の国であって、裁判所の判断が法を構成するのですが、わが国は制定法主義の国なので、裁判所の判断が法になるわけではないんですね。

国によって、判例法の国、制定法主義の国という区分けなどありません。
主要国はすべて、制定法主義の国ですが、
法律にすべての基準を網羅することは不可能なので、結果として、判例を積み重ねることによって、基準が明確になっていくだけです。

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