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凛にして毅なる碩学、北野弘久先生 -3 . はてなブックマーク  Twitter   2005-11-29

 今一つ私の目をひいた鑑定意見書は、竹中平蔵氏(当時.財政経済担当大臣、現.総務大臣)に関するものでした。
 「住民税脱税犯における偽計行為(1)」と「住民税脱税犯における偽計行為(2)」の2章に分けて論じられているもので、それぞれ、東京地裁に提出された先生の鑑定所見書であり、東京高裁に提出された先生の補充鑑定所見書の概要です(同書、567ページ~586ページ)。

 ことの発端は次のようなものでした。写真週刊誌「フライデー」(2002年8月16日号)が、竹中平蔵氏について住民税の脱税疑惑のあることを報道しました。竹中氏が、日本中から自らの住民票を抹消して住民税を違法に免れているのではないかという疑惑です。つまり、毎年年の暮れになると住所をアメリカに移し、日本における1月1日現在の住民票の記載を意図的に消してしまい、住民税をごまかしていたというのです。
 竹中氏は、いわれなき誹謗中傷をされ名誉を毀損されたとして、出版社と編集者に対して、損害賠償等の裁判を起こしました。
 北野先生は、フライデーが疑惑報道をする際に税法学の専門家としてのコメントを求められていた経緯もあり、被告とされた出版社の要請に応じて、フライデーの報道は決していわれなき誹謗中傷ではなく、竹中氏の一連の行為は税法学的には明白な脱税行為であるとする鑑定所見書を作成されたのです。

 先生の鑑定書は、的確な事実認定のもとに、一分のスキもない論理構成がなされている見事なものです。
 現職の国務大臣が、「偽計行為」(地方税法324条1項で“偽りその他不正行為”と規定されているものです)を敢えて行ない、地方税の納税を免れた(これを通常は脱税といいます)というのですから穏やかではありません。しかも、マスコミの報道に端を発したものとはいえ、この脱税の指摘は日本の税法学の第一人者によるものです。税法の素人である一般のジャーナリストが指摘するのとは訳が違うのです。

 先生は、鑑定書の末尾に「結語」として次のように述べておられます。
「鑑定人(山根注。北野先生のことです)は、税法学の研究者として、また若干の先輩として原告(山根注。竹中平蔵氏のことです)に申し上げる。原告は、税財政を含む経済問題の研究者として、また現に国政を預かるものとして、全国の納税者(タックスペイヤー)に対して、本件行為について心から謝罪して下さい。」(同書、574ページ)
 北野先生は、長い間法学者として税法の研究に携わり、税の実務にも通暁されている方です。竹中氏は、この碩学の真摯な呼びかけに対してどのように答えるのでしょうか。
 論語に、
「法語の言は、よく従うこと無からんや。これを改むるを貴しとなす。」(巻五、子罕第九)
とあります。また、
「過(あやま)てば即ち改むるに憚ることなかれ。」(巻一、学而第一)
とも記されています。
 私は、若い頃竹中氏と同じ大学に学んだ者の一人として、竹中氏がどこかの国の総理大臣のように口先だけでごまかしたり、なんでもありの手練手管を弄したりしないで、碩学の言葉を真正面から受けとめ、しかるべき対応をなさることを期待しています。

 ―― ―― ―― ―― ――

師の凛とした澄明性を眼でイメージして、一首。
”藤波の影なす海の底清み 沈(しづ)く石をも珠とそわが見る”
(万葉集巻19、No.4199)

凛にして毅なる碩学、北野弘久先生 -3 (2005-11-29) . はてなブックマーク  Twitter  


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[761] Re1: 凛にして毅なる碩学、北野弘久先生 -3 投稿者:独裁者の味方、北野弘久 2006-04-02 12:29:00
学集会で講演する北野・日大名誉教授
 学習会では、「熊本朝鮮会館に対する固定資産税等の免除を違法とした福岡高裁判決批判」と題して北野弘久日本大学名誉教授が講演したほか、総聯中央の陳吉相・同胞生活局副局長が日本各地における状況について、また金舜植弁護士が東京における固定資産税裁判の現状や法的論点などについて報告した。
北野名誉教授は、熊本朝鮮会館に対する今回の福岡高裁の判決は総聯の領事館的機能、公民館的機能を無視したものだと指摘。総聯が法人格を持たないために管理会社を立ち上げ、その名義で登記しているのは「公知の事実」であるにもかかわらず、形式的に管理会社名義となっていることをもって減免措置が違法としたことも含め、「法の論理」をまったく無視したものだと語った。
 また、在外公館に対する税の免除を規定した外交関係に関するウィーン条約について、さらに地方税はあくまで自治体の条例をその法源とするものであり、自治体がその条例にそって判断すればいい問題であることの解説、裁判を闘ううえでのアドバイスなど、豊富な研究実績と幾多の税金訴訟に関与してきた経験に裏打ちされた示唆に富む話が続いた。
[朝鮮新報 2006.3.29]

 
[764] Re2: 凛にして毅なる碩学、北野弘久先生 -3 投稿者:山根治 2006-04-04 17:53:09
>[761]
 たしかに北朝鮮という国は難しい問題をかかえており、日本に悪いイメージを与えているのは事実ですが、そのことと北野弘久先生が税法学の専門家の立場から熊本朝鮮会館の固定資産税の問題を論じておられることは全く関係のないことです。坊主憎けりゃ袈裟まで憎い、とばかりに、北野先生を独裁者の味方であると決めつけるのはいかがなものでしょうか。
[1282] Re3: 凛にして毅なる碩学、北野弘久先生 -3 投稿者:安村博司 2006-12-07 05:42:14
凛にして毅なる山根先生が居られるのは心強いです。田舎で税理士やってますが、対権力(税務署)闘争では、北野理論が支えです。税理士会の大勢は、カビの生えた保守の権力迎合志向で、鈍感な茹でガエルを連想しています。ゴミズミ(小泉)の五年でも数十万社の零細企業が淘汰され業界も不況業種でしょうが、零細自営業の復活しいてはメタボリックな経済(悪性脂肪は溜まるが毛細血管に血液が回らない、消費不況)を変える動きは税理士会には見当たりません。新会社法も有限廃止零細選別の側面も強いんでしょうね。まあ監査など無縁ですが、先生のブログはとても参考になり勇気付られます。ありがとうございます。

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