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008 各論-本件における重要争点4項目の客観的証明|序説 . はてなブックマーク  Twitter   2016-09-06

第二、各論-本件における重要争点4項目の客観的証明


1,序説


一、ツェノンの逆説

 古代ギリシャの哲学者ツェノンの考えだしたものに、いわゆる“アキレスと亀のパラドックス”があります。スピードランナーであるアキレスがノロマな亀を追い越そうとしても決して追い付けないというパラドックスです。
 前方をノロノロ歩いている亀を追いかけ、亀がいた所へ到達した時には、亀は少し先まで進んでいる。再びそこに到達しても、やっぱり亀は少し前方に進んでいる。というわけで、アキレスはどうしても亀に追い付くことができないというわけです。
 現実には、このようなことは、決してありません。物理的にありえないのです。今回、検察が警察に作成させた偽りの資料やウソの自白を得て捏造した検面調書、それらにもとづく起訴、論告もこのアキレスと亀のパラドックスと同じことです。物理的にありえないことが、さもそうであったかのように論ぜられ、また、被告人、証人をも真実であったかのように思い込ませて洗脳してしまったのです。
 「私は、大量の株を持っていた。」「客からの預り金は、絶対に使っていない。」「しかも、逆に、グループにはマネーウォッシングの口座で儲けたお金をつぎこんできたくらいだ。」口の中で、何度もこれらのことをつぶやき、考えました。「それなのに、その現実と全く違う資料ができあがっている。おかしい、どこかがおかしい。」、私は考え続けました。
 考え続けることができたのは、真実は自分にあるという確固とした自信があったからです。現実にあったことは、いくら検察がトリックをつかって事実を曲げようとも、必ずや矛盾が生じ数字の上であらわれてくるに違いないという確信でした。“アキレスと亀”のパラドックスは、部分的には真理であっても、全体として見れば、虚構なのです。検察のトリックもきっとこれと同じであると考えました。“アキレスと亀”について私は考えめぐらしました。“アキレスと亀”の逆説は一見なるほどと思われるのですが、現実とは全くかけ離れた説なのです。

 微積分の基本である極限の考え方から、このパラドックスもその化けの皮がはがれます。
 例えば、アキレスの速さを毎秒1m、亀の速さを毎秒2分の1mとします。今、亀がアキレスの前方1mのところにいるとします。同方向に同時にスタートしたとします。パラドックスの論法で、アキレスが亀を追いかける際に、走った距離の合計を考えてみます。
 まず、アキレスが1m進むと、亀は2分の1m先にいる。そこでアキレスが2分の1m先に進むと亀はそれより4分の1m先にいるというのが、パラドックスの詭弁です。だから永遠に追いつけないというのです。
 果たしてそうでしょうか。そんなことは、物理的、現実的にはあり得ないのです。追いかけていく距離をどんどん足していくと、その距離の和\(S\)は、
\(S = 1 + \frac{1}{2} + \frac{1}{4} + \frac{1}{8} \cdots\)
と、無限に続いて
\(S^n = 1 + \frac{1}{2} + (\frac{1}{2})^2 + \cdots + (\frac{1}{2})^{n - 1}\)
となり、数列\(S\)の極限値が、\(S\)の和となるわけです。
 次に
\(\frac{1}{2}S^n = \frac{1}{2} + (\frac{1}{2})^2 + \cdots + (\frac{1}{2})^n\)
を考えます。
 \(S^n\)との差をとります。すると、
\(S^n - \frac{1}{2} S^n = 1 - ({\frac{1}{2}})^n \)
となり、両辺を2倍にすると
\(S = 2 - ({\frac{1}{2}})^{n-1}\)
となります。
 とすると、もうわかります。\(n\)を限りなく大きくしていくと、
\(({\frac{1}{2}})^{n-1}\)
という数字は、限りなく小さくなっていきます。つまり、\(S\)は2に限りなく近づくのです。
 アキレスが、亀を限りなく追いかけていく時の距離の\(S\)は、わずか2mに過ぎないのです。亀に追いつけないのは2mにすぎない、その2mの間の話をして、永久に、アキレスは亀に追いつけないかのごとく、説明しているわけです。毎秒1mの速さなので、2秒間だけのことです。2秒間のことを説明して、永久にそうであるかのごとく、詭弁を弄しているわけです。しかし、2秒間以内、2m以内については真理なのです。だから、逆説といわれるのです。このパラドックスは、勝手に2秒未満に制限しておいて、「追いつけませんね」といっているに過ぎないのです。

二、現実の株券の動きを追跡する-「マイナスの在庫」

 私はこのパラドックスを思い浮かべながら、考え続けました。そして、思いついたのです。
 検察は、勝手に何かを制限しておいて、「57年3月末、手持ち株はなかったね」といっているのに違いないということです。現実にはアキレスは亀に追いつき、追い越します。私の場合も、株券は現実に存在していたのですから、やはり、何かを勝手に制限されてごまかされているに違いないと考えました。
 ある日、「まてよ」と思いました。結果論の資料に惑わされず、現実の毎月毎月の株券の動きを考えてみようとしたのです。検察は累計で考えていますので、そこではプラスとマイナスが相殺されてしまい、ことの真相が見えてこないに違いないのです。
  
 株の損益計算の公式が、在庫がマイナスの時には現実と矛盾することを、今までの公判では説明いたしました。在庫にマイナスがあっては、おかしいのです。実物経済には、マイナスの観念を入れてはおかしいのです。在庫がマイナスになることはあり得ないからです。
 例えば、自動車メーカーの各部品の在庫を調べていて、在庫がマイナスになるということは、おかしいと考えねばなりません。ない部品を使って車を造ったことになるからです。ボルトとかナットとかの部品が抜けており、欠陥車となることでしょう。あわててラインをストップしなければなりません。これと同じことです。実物経済においては、マイナスの概念は、あり得ないのです。

 検察のパラドックスに気づいてからは、もう騙されませんでした。全てが解けていきました。検察はまさに、アキレスと亀のたった2秒間をとらえてそれが真理であるかのように主張したツェノンでした。私は検察の非合理的な偽りの主張を見破ったのです。彼らは、自分勝手に限定した枠の中で、非現実的な主張をしていたのです。

三、東京地検特捜部のハジ調書・ハジ起訴・ハジ論告

 関東電化株の売買で検察の主張するように、果たして私はそんなに損をしたのでしょうか。私は、当然、56年9月の関東電化株の損を実際に計算した上で、検察は主張しているものとばかり思っていました。私の感じではそんなに損をしてはいませんので、検察は証憑を偽造しているのではないかとさえ勘ぐっていたのです。
 ところが、何のことはない、検察は56年9月の関東電化株の損益など計算していなかったのです。損益を実際に計算してみますと、別項で証明しますが、たった1億円弱しか損をしていないのです。
 検察のパラドックスは、こうやって解けていきました。地検特捜という肩書に、この私ですら、勝手に予断をいだいてしまっていたのです。もっと頭が良い連中と思っていました。何のことはありません。単に脅して、ウソを言って、取引をして、人質を取って、インチキ調書を捏造したにすぎないのです。客観性など、みじんもなかったのです。自分達に都合の悪い資料を単に表に出さなかったにすぎないのです。一分のスキもない程、捏造、カイザンされていると思い込んでいたのは、地検特捜部が類い稀な頭脳集団であるという誤った先入観をいだいていたからだったのです。

 私は、与えられた資料の中にも、真実を裁判長に計数的に証明できるものがあると確信し、計算していきました。そして、以下の証明ができるようになったのです。東京地検特捜部の、ハジ調書・ハジ起訴・ハジ論告であることを、数字の上から証明をすることができたのです。
 できることならば今一度、本間検事の証人喚問をお願いしたいものです。
 この計数的証明に対して、彼は何と答えるでしょうか。検察のバッジにかけて大ウソをついた彼は、検察のバッジをもう一度指さして、何と言うのでしょうか。
 それでは証明に入ります。
(つづく)


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