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査察Gメンを犯罪人として告発!!-号外② . はてなブックマーク  Twitter   2016-07-12

 号外①(承前)

 前回掲げた「罪となるべき事実」(「犯則事実」)を、私なりに理解できるように一覧表にしてみた。
 公表された第一審の判決文では、税込み価格とその個数、税抜き価格とその個数及び逋脱額だけが記されているだけで、
  1. 申告税額
  2. 告知された税額
  3. 納付すべき税額
の3つが抜けていることに気が付いたので、それらを補ってみたのである。

項目昭和29年
1月中

2月中

3月中

4月中

5月中
1.税込み価格1,131,860円1,001,650円1,663,100円2,331,600円1,603,900円
2.税抜き価格84,200円135,400円232,000円232,600円179,500円
3.申告税額
(2.×0.2)
16,840円27,080円46,400円46,520円35,900円
4.告知された税額
(5.-6.)
15,840円27,080円37,320円45,740円35,910円
5.納付すべき税額
(1.÷1.2×0.2)
188,640円166,940円277,180円388,600円267,310円
6.逋脱額172,800円139,860円239,860円342,860円231,400円

※税率を20%(第二種丁類-物品税法第一条第一項)、申告個数と調定(調査確定、賦課)個数は同一として計算。

 上記の一覧表で気がつくことが2つある。
 一つは、申告個数と賦課個数とを同一と仮定した場合に、
  3.の申告税額と
  4.の告知された税額とが
昭和29年2月中の27,080円だけが一致し、その他の月は微妙に異っていることだ。今一つは、そもそも
  4.の告知された税額と
  5.の納付すべき税額とが
大幅に異っていることだ。これは、実際に販売移出された物品の個数と申告された個数とが、次のように大幅に異っていることによるものであろう。

項目申告個数実際の個数
昭和29年1月中35個271個
昭和29年2月中48個243個
昭和29年3月中84個421個
昭和29年4月中86個602個
昭和29年5月中67個406個

 以上の2つの事実は、賦課決定の際には、内部調査(机上調査)を行って単純な計算ミスを補正し、その後に実地調査を行って販売移出個数が大幅に漏れていることを確認して、納付すべき税額が確定されたことを意味するものではないか。
 おおむねこのような目星をつけた上で、改めて判例を読み直してみた。なかでも、弁護人の上告趣意を腰を据(す)えてじっくり読みこんだ。すると、私がこれまで目にしたことのない熟語が二つ飛び出してきたのである。
 一つは、「首服」であり、今一つは、「調定」だ。早速辞典で調べてみたところ、
「首服」:しゅふく。親告罪の犯人が、告訴権者に対して、自らの犯罪事実を自ら申告し、その告訴に委ねること。自首と同じ効力がある。
「調定」:ちょうてい。調査して確定すること。賦課。
(いずれも、広辞苑より)
とあるではないか。
 上告審の弁護人は、上告趣意の中でこの「首服」と「調定」を当然のように使っている。当時の税務ではごく普通の用語であったのであろう。
 「首服」が自首と同じような意味合いを持ち、「調定」が賦課のことであるとすれば、国税犯則取締法(以下、国犯法)に規定されている「通告処分」(同法第14条)が真っ先に浮んでくる。
 判例6.の決定要旨では
「製造業者が物品税法第八条の申告をしたときは、税務官署は、国税徴収法第六条の規定により、納税人に対し、申告にかかる納金額及び物品税法第一〇条所定の納期日、すなわち第二種及び第三種の物品にあっては毎月分を翌々月末日と指定して告知するものであり、」(下線は筆者)
と判示されているが、本事案は反則行為、即ち詐偽(偽り)その他不正の行為が認められた場合であることから、国税徴収法第六条の規定による「告知」の他に、国犯法第14条の規定による「通告」が実際にはなされていたのではないか。
 ところが、公表されている第一審判決、第二審判決、最高裁小法廷決定のいずれにも国犯法第14条の通告処分のことは全く出てこない。

 ここで考えられることは、上告審の弁護人が争点として挙げた中で、誤って国税徴収法第六条を持ち出したことを奇貨として、裁判官が敢えて訂正しなかったか、あるいは、裁判官が国犯法による「通告処分」自体を知らなかったかのいずれかであろう。 
 いずれにせよ、第一審判決で示されている「犯則事実」が上記の一覧表のようなものであるとすれば、第一審の弁護人は国犯法による「通告処分」がなされていたことを当然知っていたはずだ。あるいは、第一審の弁護人と上告審の弁護人とが別人で、弁護人の間で事件の引き継ぎがまともに行われず、上告審の弁護人が一人合点をして争点を取り間違えたものであるのかもしれない。
 このことは、裁判官とか弁護人だけの問題ではない。この判例6.を「租税犯の既遂の時期」に関する基本判例として取り上げている税法学者・金子宏氏の問題でもある。
 金子氏が、「税を免れたこと」という犯罪構成要件を「租税犯の既遂の時期」にスリ替えた背景には、あるいは、国犯法による「通告処分」を表に出したくなかったことがあるのではないか。国犯法による「通告処分」は物品税のような間接国税だけに適用されるもので、法人税のような直接国税には適用されないことから、彼が引用した判例6.の嘘・偽り、即ちスリ替えのカラクリが直ちにバレてしまうことになるからだ。
(この項つづく)

 ―― ―― ―― ―― ――
 ここで一句。
”ドラマでは悪役多い銀行マン” -日南、たかの紀凛
(毎日新聞、平成28年4月20日付、仲畑流万能川柳より)

(現実はドラマどころではありません。このところ金融マフィアに堕した銀行の手先です。現代はフィンテックという名の金色夜叉が、全世界を我物顔で跳梁跋扈する魔界の時代です。)

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